yu-1513の日記

崖っぷち看護師23歳。一年近く勤めた精神病院をもうすぐ辞めて、障害者枠で就労を目指す予定。身バレ防止のため、記事の内容には多少のフェイクを混ぜてます。悪しからず。。。

北海道で相次いだ新人看護師の自殺報道が、他人事と思えなかった。

北海道で新人看護師の自殺がまた起こった。

心が痛んでならない。

昨日、Yahooニュースの記事を読んでいて、やるせない気持ちでいっぱいになった。

 

今回報道された、看護師になってわずか半年で命を絶った村山譲さん。

過重労働による鬱病で命を絶った杉本綾さん。

2013年にも吃音のある34歳男性看護師が、就職してわずか4ヶ月で自ら命を絶っている。 

人を救うはずの看護師が、心を壊して、自らの命を絶っていく。

 

一時期自殺を考えていた新人看護師として、今回の件について、思うことを書かせてほしい。

 

 日本の自殺者は、統計では年間3万人って出ているけれど、実際の数はもっともっと多いと推測されている。

なぜなら、遺書がなければ自殺ではなく変死扱いになってしまうからだ。日本には年間15万人ほどの変死者がいる。

さらに自殺未遂者は、統計上の自殺者の少なくとも10倍はいると言われている。私の勤めていた精神科病院にも、自殺未遂歴のある患者は少なくない。

 

 報道されている新人看護師の自殺は実は氷山の一角で、報道されてない自殺がまだあったのではないか。自殺未遂をした看護師、さらには死にたいと考えている看護師はもっといるのではないだろうか。

 

 新人看護師の置かれている状況の過酷さは、私が尊敬している依里楓さんが、大変分かりやすく書いておられるのでそちらを参照していただけたらなと思う。(依里楓:新人看護師へただ1つのアドバイス - プロセスレコード http://erikaede020.hatenablog.com/entry/2016/05/18/133618

 

 私は昨年の春、医療系大学を卒業し、無事に看護師の国家試験にも受かり、看護師として社会人一年目を迎えた。精神科専門の病院に入職し、急性期から慢性期まで幅広い病期の方が入院する閉鎖病棟に配属された。

 新卒にして精神科というマイナーな分野を選んだのは、元々の精神科への興味もあったけれど、それ以上に自分自身が発達障害グレーゾーンと聴覚処理障害を抱えており、一般的な病棟でやっていくのは厳しいと学生時代の実習を通して感じていたからだ。

まず聴診器が使いこなせない。音の質、音の高低がよく分からない。申し送りや口頭指示で、聞き取れない部分が出てくる。ワーキングメモリも小さく、何より頭の回転が悪い。

一般的な病棟だったら人を殺しかねない。精神科だったら命に関わる処置はなさそうだし、まあ何とかなるかなという考えだった。

 ・・・しかし甘かった。ナースコールの内容も、他部署からの電話もうまく聞き取れない。

プライベートで電話を使うときはイヤホンが必須であるが、さすがに病棟ではイヤホンは使えない。

精神科とはいえ、点滴や導尿ぐらいの身体的処置はあるし、精神科独特の看護技術も必要とされて、例えば隔離や身体拘束を行ったり、突然暴れる人を押さえたりしなければならない。興奮強い人に鎮静をかけるための劇薬の筋肉注射も日常的に打つ。

ドタバタした病棟で、ハンデを抱えながら必死だった。口調のきつい職員も多く、何度怒鳴られたか数え切れない。汗と涙と鼻水の日々。

ハンデを抱えながら健常者らに紛れて就労することに、何度も限界を感じた。日々、健常者のコスプレと白衣の天使のコスプレで息が詰まりそうだった。

 

 11月頃には気づいたら、自殺をすることが、人生の選択肢の一つとして自分の中で当たり前に存在していた。

 仕事柄、自殺未遂して入院してきた人に対応したり、希死念慮を訴える患者と向き合うことは日常だった。

また、そのころプライベートでも、知人の大学生が自殺をしてしまった。その亡くなった大学生とは、一度共通の友人を交えてご飯に行ったことがある。まさかそんな身近なところで自殺が起こると思ってなかった。

 そんな状況の中で感覚は麻痺してゆき、自ら命を絶つ、という死に方は自分の中で特別なことではなくなっていた。

 

 そのころは、死ぬとしたらどうやって死のう、と日常的に考えていた。

界面活性剤を見ては、これを吸って静脈注射したら簡単に死ねるんじゃない?と思ったり。薄手のシーツを見ると、これなら破いて紐代わりにして首締められそう、と思ったり。建物の柱を見て「ここ、首吊るのに丁度よさそう」と思ったり。

 このころは少々危うくて、ふと気を抜いた瞬間に、特急電車の向かってくる線路に飛び込んでいても不思議でなかった。

 深夜の人影無い淀川を渡っているとき、橋の真ん中あたりで身を投げていても不思議でなかったと思う。

 我ながら当時の自分が恐ろしい。

 結局自殺しなかった理由としては、死にたさよりも、まだ生きようと思える理由の方が少しだけ勝っていたからだ。

 まだ若く健康でやり直そうと思えば間に合う。生きていたら好きな音楽も聞けるし美味しいものも食べられる。季節の移ろいを感じることもできる。会いたい人がいる。退院まで見届けたい患者が何人もいる。もし自殺したら、周りの人は悲しむかもしれない。

 まだ冷静に物事を考えられる余地があったのが幸いだった。

 人は追い詰められると、視野が狭くなっていきコントロールがきかなくなり、辞めるとか一旦休むということが考えられなくなっていく。そのへんは、イラストレーターの汐街コナさんがTwitterに投稿しておられた漫画が大変分かりやすいのでそちらを参照していただけたらなと思う。(@HuffPostJapanさんから 過労自殺...それでも「死ぬくらいなら辞めれば」ができない理由(マンガhttp://www.huffingtonpost.jp/2016/10/25/karoshi_n_12651602.html

 

 いま、生きていて良かったと心の底から思う。

こないだ、気の置けない友人たちとお酒を飲んでいるとき、ああ、あのときウッカリ死ななくて良かったなあとしみじみ思った。

 

 世の中の、死にたいくらいに辛い状況の人に伝えたい。どうか、死を考えるくらいなら、仕事なんて辞めてほしい。新人看護師さんなら、その病院だけが全てじゃないし、看護だけが仕事じゃない。

 死を考え出すほど辛い仕事を辞めることは、逃げじゃない。責任感の強く、真面目な人ほど、勇気を必要とする行動だと思う。精神科なり心療内科のクリニックにかかって鬱病の診断書をもらって休職してもいい。

 いろんな選択肢がある。どうか自殺だけは選ばないでほしい。

 

  自分の場合、退職を決意するまでに半年ほどかかってしまった。

 幸いなことに鬱症状は出てなかったけど、冬頃から10代のころ患っていた過換気症候群が再燃し、一週間に一回のペースで発作が出るようになっていた。

 このころ、発達障害グレーと聴覚処理障害と過換気症候群という三重苦を抱えながらも、何とか無遅刻無欠勤で仕事行っていた。誰か当時の自分を、現代のヘレンケラーとして表彰してほしい。

 さらにほとんど吸ったことのなかったタバコに手を染めるようになり、出勤前と帰宅後のニコチン摂取が欠かせなくなっていた。ごはんを食べるのも面倒になっていた。2月末、このままだとヤバいとようやく気づき、ついに退職希望の旨を師長に伝えた。

 自分の場合幸いだったのは、愚痴や弱音を吐ける相手がいたこと、まだまだ若く体力もあったこと、退職を迷っているときに「人生なんとかなるから大丈夫やって!あんたが辞めたら退職祝いしたるわ」と背中を押してくれた人がいたこと、鬱状態になってしまう前に退職という判断ができたことが大きい。

 もしどれかの要素が欠けていたら、自分も危なかったかもしれない。だから今回の北海道の新人看護師の自殺も他人事と思えない。

 

 今回亡くなった新人看護師の村山譲さんは、30代後半で看護師になったという。あくまでこちらの勝手な憶測でしかないが、もしかしたら村山さんは、同期の看護師が若い女性ばかりの中で、気軽に愚痴や本音をこぼせる相手がいなかったのかもしれない。記事によると、家族にも、辛いとか困っているとか話してなかったという。一人で辛さを抱え込み極限状態で死に向かってしまったのではないか。そうだとしたら、あまりにも痛ましい。

 

 一昨日は今年の看護師国家試験の合格発表があった。今年も5万5000人の新人看護師が誕生する。どうかこれ以上、志半ばにして自ら命を絶つ看護師が出ないことを願うばかりである。

  

〈参考〉

 特定非営利活動法人自殺対策支援センターライフリンク http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html

  「親の背中見て自分もなろうと…」新人看護師 わずか半年で自殺の“なぜ?“ 北海道釧路市北海道文化放送) - Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170327-00010001-hokkaibunv-hok #Yahooニュース

  ホッカイドウニュース:新人看護師が自殺 「お前はお荷物だ」労災認定されず 遺族が再審査請求 北海道釧路市

http://uhb.jp/news/?id=1446